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ラクトフェリンと動物

免疫には自然免疫と獲得免疫の二つがあり、両者は明確に区別できることが分かったのは1990年代後半のことである。前者は動物が生まれながらに持っている"疾病"あるいは"感染"に対する自然抵抗性(防御能)を意味する。自然免疫は昆虫とかミミズのような下等動物から哺乳類と鳥類のような高等動物に至るまで共通である。侵入してきた非自己(病原微生物あるいはウイルス)を識別するのは、樹状細胞とマクロファージに存在する僅か10種類の受容体である。


それに加え、哺乳類と鳥類のような高等動物は、稀には心臓、肺、子宮などに定着しコロニーをつくるとすれば、獲得免疫を持っている。いろいろな病原体が自然免疫のバリアーを突破してきた場合、身体は侵入した病原体に対応し獲得免疫と呼ばれる防御機構を発展させた。とは云っても両者は不可分で、密接に結びついて身体を護っているのである。


ヒトの新生児は、胎盤経由で母親から抗体を受け取るものの、獲得免疫は未成熟のまま産まれてきる。獲得免疫が成熟するまでのあいだ、ラクトフェリンはしたがって、免疫的寛容の導入が必要な自己免疫疾患、乳児を病原体の感染から護る母乳成分の一つである。ラクトフェリンが自然動物の強化因子と云ったのはそのためである。さらに、ラクトフェリンの役割はそれに止まりない。ヒトを特徴づけるのは脳のはたらきである。


新動物は極めて未熟な脳を持ったままで産まれてきる。新生児の脳は母乳エネルギーの約半分を消費し、急速に成長する。ラクトフェリンは脳内麻薬の効果を増強することにより、急成長する乳児の脳をストレスから護り、その成長を促していると考えられる。このような観点からすれば、ラクトフェリンが何らの副作用を呈することもなく、多彩な生理活性を持つのは当然であろう。

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